少子化に直面する中で、日本の大学教育は岐路に立たされています。特に一部の「Fランク大学」が、補助金を得るために倫理的にグレーな手段を駆使し、学問よりもビジネスとしての経営に走っている現実が浮き彫りになっています。この記事では、Fラン大学の現状と、その裏にある補助金制度や政治との関係について深掘りし、私たちが直面する教育の未来について考察します。
学生数確保と補助金狙い—グレーゾーンに踏み込む大学経営
少子化に伴い、大学は学生数の確保に苦心しています。特に定員割れが続く「Fランク大学」では、学生を集めるためにグレーな手段に頼るケースが増加しています。例えば、日本語学校と連携して留学生を集め、不法就労を黙認することで定員を埋める大学が存在します。こうした学生の多くは実際には授業に出席せず、工場で働くために来日していることが明らかになっています。
これにより大学は補助金を受け取り続けることができるのです。文部科学省が交付する「私立大学等経常費補助金」は、大学運営の大きな支えとなる資金ですが、その額は定員充足率や教職員の数に基づいて決定されるため、定員割れを避けることが大学の経営上の死活問題となっています。さらに、留学生の受け入れ体制の整備や、特定の学部の新設によって補助金を増やすことが可能で、大学はこの制度を最大限に活用しようとしています。
政治との癒着—文部科学省と天下り問題
Fラン大学が補助金を獲得するために、さらに問題となっているのは文部科学省からの天下り職員の存在です。文科省OBを大学に受け入れることで、補助金申請のプロセスがスムーズに進むだけでなく、政治とのパイプを強化する狙いがあります。一部の大学では、文科省からの天下りが理事長や専務理事などの要職を占めているケースもあり、大学運営の実権が実質的に文科省OBに握られていることさえあります。
このような背景から、文科省と私立大学の関係はますます密接になり、私大経営が政官と深く結びつく構図が出来上がっています。この関係が強固になることで、不必要な大学や学部が新設され、税金が無駄に投入されるリスクが高まっています。
政治家とのつながり—補助金を獲得するもう一つの手段
さらに、大学は文科省を飛び越え、政治家と直接のパイプを築くことも少なくありません。自民党の「文教族」と呼ばれる議員たちが、大学の客員教授などを務め、大学の支援に関与することで、大学側はさらなる補助金を獲得しやすくなる仕組みがあるのです。
特に、2017年に加計学園問題で騒がれたように、政治家と大学との個人的な関係が国の政策に影響を与えることさえあるのです。安倍晋三元首相と加計学園理事長の個人的な関係が、岡山理科大学の獣医学部新設に影響を与えたという批判が起こったことは記憶に新しいでしょう。
未来に向けて—大学の本来の役割を取り戻すには?
日本では10年後、少子化がさらに進行し、大学全入時代がやってくると言われています。つまり、大学はますます定員を確保するための競争が激化し、ビジネスとしての側面が強まることが予想されます。しかし、大学本来の役割は学問の探求と教育の提供であり、それを忘れてはなりません。
慶應義塾の創設者である福沢諭吉も、教育機関が政府と過度に密着することの危険性を警告していました。学問の独立を守り、大学が再び教育機関としての使命を果たすためには、政治やビジネスからの影響を断ち切り、モラルに基づいた運営が必要です。
まとめ
Fラン大学の暴走は、教育の質を低下させるだけでなく、国家資金の不適切な利用にもつながっています。補助金を得るために学生を集めるという短期的な視点ではなく、長期的な視点で日本の教育を考える必要があります。大学が本来の使命を果たすためには、教育の質を守り、倫理的な運営を取り戻すことが急務です。
私たちは、大学の役割と未来についてもう一度考え直す時期に来ているのかもしれません。
