小説の書き綴り

短編小説、雑学、ニュース記事などを雑記に書き綴ります。

電気ストーブの温もり

 

 

雪が降りしきる厳しい冬の夜、一軒の小さなアパートで、ノリコは古い電気ストーブをつけた。
彼女はこの小さなストーブが放つ暖かさを感じながら、ふと過去を思い出していた。
「このストーブは、あの日からずっと私のそばにいるんだ」とノリコはつぶやいた。

数年前、ノリコは大学を卒業し、一人暮らしを始めたばかりの頃、この電気ストーブを購入した。
当時は新しい生活に不安と期待が入り混じる日々で、このストーブは彼女にとって唯一の心のよりどころだった。
夜な夜な、その温もりに包まれながら、彼女は将来の夢を描いていた。

今夜も、ノリコはそのストーブの前に座り、手に持った本を静かに読んでいた。
窓の外は寒々としているが、部屋の中はストーブのおかげで暖かかった。
「このストーブがあるから、冬が好きになった」と彼女は微笑んだ。

そんなある日、ノリコのもとを親友のアキコが訪ねてきた。
アキコは久しぶりにノリコの部屋を訪れ、その温かさに驚いた。
「ここはいつ来ても、心が暖まるわね」とアキコは感じた。

二人は電気ストーブを囲みながら、お茶を飲み、様々な話に花を咲かせた。
アキコはノリコに勇気を与え、ノリコはアキコに安らぎを提供した。
「この部屋とストーブがあれば、どんな寒さも乗り切れるわ」とアキコは言った。

その夜、二人は過去の思い出やこれからの夢について語り合い、夜が更けていくのも忘れていた。
電気ストーブはただの暖房器具ではなく、彼女たちの絆を深める場所でもあった。

「来年もまた、ここでお茶しようね」とノリコが言うと、アキコは嬉しそうに頷いた。
電気ストーブの温もりは、彼女たちにとって冬の寒さを忘れさせる、小さな幸せの源だった。