10月に入り、朝晩の空気がぐっと冷え込み、秋の深まりを感じる季節になりました。
そして10月は、偶数月――つまり 年金支給月 です。
その中でも注目されているのが「障害年金」。
病気やケガで日常生活や仕事に制限が生じたときに、経済的な支えとなる大切な制度です。
しかし、実はこの障害年金、「一度もらえたら一生もらえる」わけではないのをご存じでしょうか?
■ 障害年金の支給は“定期的な見直し”がある
障害年金には、初めて支給が決定する「新規裁定」と、その後の継続可否を判断する「再認定」があります。
つまり、一度認定を受けてもそのまま自動継続ではなく、数年ごとに診断書を提出して再審査を受ける仕組みになっているのです。
これは、症状が改善していないか・悪化していないかを確認するため。公平性を保つための重要なプロセスとされています。
■ 新規裁定の約6割は「3年以内」の短期更新!
日本年金機構が発表した最新統計(令和5年度)によると、初めて支給が決定した「新規裁定」のうち――
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更新期間1年:2.1%
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更新期間2年:28.5%
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更新期間3年:31.4%
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更新期間5年:29.2%
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永久固定(更新なし):8.4%
およそ 6割が「3年以内」で再審査が必要 という結果に。
これは、受給者の症状が時間とともに変化する可能性を考慮して、短期での再確認が必要とされているからです。
■ 再認定では「5年更新」または「永久固定」が増加
一方、再認定の段階に入った受給者では、状況が安定しているケースが多くなります。
令和5年度のデータでは――
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更新期間5年:43.4%
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永久固定:21.9%
この2つを合わせると、約65% にもなります。
つまり、継続的な支援が必要と判断された人には、より長期で安定した支給が行われている ということです。
■ 令和7年度の最新支給額
支給額は毎年、物価や賃金の変動に合わせて見直されます。
令和7年度の最新額は以下の通りです。
◎障害基礎年金(国民年金加入者など)
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1級:年額 103万9625円(または103万6625円)
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2級:年額 83万1700円(または82万9300円)
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子ども加算:2人まで各 23万9300円(3人目以降は各7万9800円)
◎障害厚生年金(会社員・公務員など)
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報酬比例額をもとに算出
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1級は報酬比例額×1.25+配偶者加給年金(23万9300円)
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2級も同様に加給あり
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3級は最低 62万3800円(または62万2000円)
また、3級に満たない場合でも「障害手当金」という一時金が支給されることがあります。
■ 「一生もらえる」と思い込まないことが大切
障害年金は、あくまで**「その時点での生活と健康状態を支える」ための年金**です。
状況が変われば支給内容も見直されます。
ただし、それは決して冷たい制度ではなく、回復状況に応じて最適な支援を続けるための仕組みでもあります。
再認定のたびに診断書の準備が必要で手間に感じるかもしれませんが、それこそが制度の公平性を守る大切なステップです。
■ まとめ:制度を知ることが「安心」につながる
障害年金は、視覚や肢体の障害だけでなく、がん・糖尿病・精神疾患など幅広いケースで支給される重要な社会保障です。
「一生もらえる」と思い込むのではなく、更新制度を理解したうえで生活設計を立てることが大切です。
令和7年度の最新支給額を知っておくことで、万が一の時も落ち着いて備えることができます。
💡「公的年金制度は難しい」と感じている方こそ、今こそ正しく理解しておきましょう。
あなたや家族の“もしも”を支えるために――障害年金は、希望をつなぐセーフティーネットです。