小説の書き綴り

短編小説、雑学、ニュース記事などを雑記に書き綴ります。

プールサイドからの告白

 

 

水泳部の二人の高校生、美咲と大和は、いつも水泳のタイムを競い合う仲でした。

練習の合間には、互いに励まし合いながら、二人でプールサイドで話し込んでいました。

 

美咲と大和は夏祭りに一緒に行きました。

 

浴衣に身を包んだ美咲は、大和の目を引きつけるほど美しく、大和も素敵な浴衣姿で美咲を魅了していました。

 

二人は楽しそうに屋台を巡り、花火を眺めながら、夜の風に吹かれて幸せそうに笑っていました。

 

しかし、ある時、二人の間に好きな人の話題が出てきました。

 

「ねえ、大和くん、誰か好きな人いるの?」

美咲が尋ねました。

 

大和は顔を赤らめながら答えました。

「それは...教えられないよ」

 

美咲も同じく照れくさそうに言いました。

「私も、うーん、言えないな」

 

お互いが好きなのはわかっているのに、どちらも告白をしようとはしませんでした。

 

そこで、なんとか大和に告白させたい美咲に名案が浮かびました。

 

「じゃあさ、水泳のタイムを競う勝負をしようよ」

 

「負けた方が好きな人の名前を教えるの!」

 

大和は少し悩んだ末に、覚悟を決めてその勝負を受けることにしました。

 

翌日、緊張感漂うプールサイドから好きな人の名前を賭けて、美咲と大和は同時に飛び込みました。

 

勝負は美咲が優勢で大和はやや遅れているようでした。

 

しかし、途中で美咲の身体が崩れ、溺れかけてしまいました。

異変に気付いた大和は猛スピードで助けに向かいました。

勝負の時よりも速い速度で美咲のところへ駆けつけていたのです。

大和は美咲をプールサイドへ引き上げました。

 

「美咲、大丈夫か?!」大和が危機迫る勢いで尋ねました。

 

美咲は苦しそうにしながらも、「大和くん、ありがとう...勝負は負けたわ」と言いました。

 

大和は美咲に微笑みかけ、「実は...僕の好きな人は、美咲だよ」

 

「ごめん、ずっと言えなくて。僕が夏祭りのときに美咲にちゃんと告白していれば、こんなことにはならなかったのに」

 

告白を聞いた美咲は、涙を流しながら言いました。

 

「大和くん、私もずっと好きだったの」

 

大和は美咲を抱きしめた。

 

プールサイドから二人の告白が成就した瞬間だったのだった。