小説の書き綴り

短編小説、雑学、ニュース記事などを雑記に書き綴ります。

夢の書架

 

 

今週のお題「最近読んでるもの」

 

最近の夜は、古い本の匂いに包まれながら、静かな図書館の一角で過ぎていく。
そこには薄暗いランプの下、古典から現代文学まで、さまざまな世界が棚に並んでいる。
マリはいつものように、一冊の本を手に取った。「夢を紡ぐ物語」、それが今夜の彼女の選択だ。

その本は、現実と夢が交差する場所について書かれていた。
ページをめくるたびに、マリはより深くその物語の世界に引き込まれていった。
「夢ならばどれほどよかったでしょうか」と、物語の主人公がつぶやくシーンに、彼女は息を呑んだ。

夢中で読み進めるうちに、マリは気がついた。
図書館の静けさが、徐々に彼女を別の世界へと誘うような気配を放っていた。
目の前の文字が光り輝き、彼女はゆっくりと本の中に吸い込まれていく。

彼女が目を覚ますと、そこは本に書かれていた夢幻の世界だった。
周りは幻想的な風景で満ち溢れ、色とりどりの花が咲き誇る森の中に立っていた。
「これは夢? それとも…」マリは自らの存在を疑いながらも、探索を始める。

そこで彼女は、物語の主人公にそっくりな青年に出会う。
彼はマリに微笑みかけ、手を差し伸べた。「夢の中へようこそ」と青年は言った。
マリはその手を取り、二人で夢の世界を旅する。

彼らは星空の下を踊り、空飛ぶ鯨を眺め、時には雲の上でお茶を楽しんだ。
それは本の中の物語よりも鮮やかで、マリはそのすべてが夢であってほしくなかった。
「夢ならばどれほどよかったでしょう。でも、この瞬間が真実でありますように。」

しかし、夢はやがて終わりを迎える。
マリは図書館の椅子に座ったまま、本を閉じた。
彼女の頬には、幸せな夢を見た後の微笑みが浮かんでいた。

夜が明け、マリは現実の世界に戻る。
しかし、彼女の心には夢の世界が生き続け、日常に新たな色を与えていった。
「最近読んだ物語は、私に夢と希望を教えてくれました。それが何よりの宝物です。」