小説の書き綴り

短編小説、雑学、ニュース記事などを雑記に書き綴ります。

寝言の囁き

 

 

夜の帳が下り、月明かりが部屋を柔らかく照らしている。

そこには、一組の恋人が眠りにつこうとしていた。

彼らの名前は、ユウとミナミ。

ふたりの関係は、一言で言えば特異なものだった。

なぜなら、ユウは寝言で恋を告白したのだ。

 

「ミナミ、愛してるよ...」

 

初めてその言葉を耳にしたとき、ミナミは驚きとともに喜びを感じた。

しかし、目の前のユウは深い眠りについていた。寝言だったのだ。

 

翌日、ユウにそのことを告げたミナミ。

しかし、彼は何も覚えていない。

ミナミはがっかりしたが、彼の寝言を真実だと信じることにした。

それから、ミナミは毎晩、ユウの寝言を聞くのを楽しみにしていた。

 

数週間後、ユウの寝言は次第に現実のものとなっていった。

ユウとミナミの距離は縮まり、お互いの気持ちが深まっていった。

 

ある晩、月明かりの下、ユウが再び寝言を言った。

「ミナミ、結婚しよう...」この言葉に、ミナミは驚きと喜びで胸がいっぱいになった。

 

翌朝、ミナミはユウに寝言を伝えた。

しかし、今回もユウは何も覚えていないと言った。

ミナミは悲しみに打ちのめされたが、その夜、彼女は決心した。

自分の気持ちをユウに伝えることにした。

 

夜、月明かりの下、ミナミはユウに告白した。

「ユウ、私も愛してる。結婚しよう...」ユウは驚いたが、その後の彼の表情は温かかった。

 

「ミナミ、本当に?」ユウが訊くと、ミナミは頷いた。

「あなたの寝言、私は全部聞いてた。それが真実なら、私も同じ気持ちだよ...」

 

月明かりが二人を優しく包み込む。

この夜、ユウとミナミは新たな一歩を踏み出した。寝言から始まった恋が、現実の絆へと昇華されたのだ。

 

「ミナミ、本当に愛してるよ。寝ている間に出てきた言葉たち、それが僕の本当の気持ちだったんだ。」ユウは微笑んだ。

「だから、結婚しよう。」

 

その言葉にミナミは涙を流した。それは喜びの涙で、愛の確証だった。

「ユウ、ありがとう...」

 

寝言という特異な形で始まった恋は、二人の間に深い絆を創り出し、最終的には結婚へと繋がった。

月明かりの下、二人は互いの愛を確かめ合い、新たな人生への第一歩を踏み出した。

 

そして、その夜、ユウの寝言は再び響いた。

「ミナミ、一緒にいると幸せだよ...」しかし、今回は違った。

今回は、彼の愛の確認が、寝ている彼女の心に深く刻まれた。

 

恋の寝言が現実となった瞬間、それは二人の間に刻まれた永遠の愛の証だった。

月明かりが二人を包む中、彼らの心は一つになり、その愛は永遠に続くことを誓ったのだ。