ヒカルは、夏の炎天下で小さなかき氷屋を営んでいました。
彼の作るイチゴ味のかき氷は、この町で最も美味しいと評判で、特に美しい桜色のその色合いは、愛おしい恋人のように町の人々に優しく愛されていました。
ある日、小さな屋台に彼女が訪れました。
アイコと名乗る彼女は、ヒカルが作るイチゴのかき氷に目を輝かせ、口をつけると、その表情が一変しました。
まるで恋に落ちた瞬間のような無邪気な笑顔を浮かべたのです。
ヒカルはその笑顔に心を奪われ、以降、アイコが店に来るたびに、自分の気持ちを込めて一層美味しいかき氷を作りました。
アイコもまた、ヒカルが作るかき氷を楽しみに、毎日のように訪れるようになりました。
季節は流れ、夏が終わりに近づきました。アイコはいつもと違い、ちょっぴり寂しげな表情を浮かべていました。
ヒカルは心配し、彼女に問いただしました。
そこで彼女は、夏が終わるとともにこの町を離れること、そしてヒカルが作るかき氷が忘れられないほど好きだということを告げました。
ヒカルはその言葉を聞いて胸が痛みました。
しかし、彼は最後のイチゴのかき氷を彼女に差し出しました。
彼女がそのかき氷を口に運ぶと、そこには夏の甘酸っぱい恋の味がありました。
彼らの恋は、一夏のイチゴ味のかき氷のように甘く、短く、そして忘れられないものとなりました。