小説の書き綴り

短編小説、雑学、ニュース記事などを雑記に書き綴ります。

コードと恋のシンフォニー

 

 

ミドリはある朝、会社のデスクに着いたときに、いつもと違うメールを受け取った。
それは「Excel VBAコースの受講生募集」という内部研修のお知らせだった。
VBAってなんだろう…?」と彼女は首を傾げた。

彼女の隣の席に座るカズヤはVBAの達人で、会社のエクセル問題を次々と解決していた。
VBAはエクセルを魔法のように操る言語だよ」とカズヤは説明した。
ミドリはその言葉に心を奪われ、研修に申し込むことにした。

研修の初日、ミドリはVBAのコードに圧倒された。
「SubとFunctionの違いがわからない…」彼女はつぶやいた。
すると、カズヤが優しく教えてくれた。「大丈夫、一緒に学ぼう。」

日々の研修の中で、ミドリは徐々にVBAの面白さに気付き始めた。
マクロを駆使して作業を自動化する度に、彼女は小さな達成感を感じた。
「これ、すごい!もっと複雑なコードを組みたい!」と意欲がわいた。

カズヤはミドリの成長を温かく見守りながら、時には手助けをした。
二人でデバッグをするうちに、ミドリはカズヤの優しさに触れ、心を開いていった。
「カズヤさんのおかげで、VBAが楽しくなりました」とミドリは感謝した。

研修の最終日、ミドリは自信を持って最終プロジェクトを発表した。
彼女が作ったのは、日々の業務を劇的に効率化するシステムだった。
会場からは驚きと称賛の声が上がった。

カズヤはそんなミドリの姿に心を打たれた。
「君のコードには、君の性格が表れている。美しくて、効率的で、とても暖かい」
ミドリはカズヤの言葉に顔を赤らめながら、嬉しそうに微笑んだ。

その日以来、ミドリとカズヤは仕事だけでなく、私生活でも時間を共有するようになった。
VBAのコードがきっかけで結ばれた二人の間には、特別な絆が生まれていた。
「コードを書くのも、愛を育むのも、一つ一つ丁寧に」とミドリは心に誓った。

そして、二人は新たなプロジェクトに取り組むことになった。
それは、会社のデータを管理する大規模なシステム開発だ。
「二人で作るコードは、きっと最高のシンフォニーになるね」とカズヤは言った。

「はい、私たちのコードは、私たちの物語を紡いでいくんですから」とミドリは応えた。
Excel VBAは二人にとってただのツールではなく、二人の愛を形作るキャンバスだった。
コードを書き、心を重ねていく。それが二人の新しい物語の始まりだった。