夏の炎天下、海辺の小さな町で、高校生のユウキとアイリは恋に落ちた。
町の古い祭りが、二人の出会いのきっかけだった。
祭りの夜、ユウキは、アイリが浴衣姿で屋台の前でラムネを買っている姿に目を奪われた。
「アイリさん、ラムネを飲んでみたいんですか？」
ユウキは勇気を振り絞って声をかけた。
アイリは驚いた顔で彼を見上げ、「あ、ユウキくん。ラムネが大好きでね。 このガラス瓶の中に閉じ込められた夏を感じるんだよ」と笑顔で答えた。
祭りの後、二人はよく一緒に過ごすようになり、海に行ったり、夏休みの宿題を手伝い合ったりしていた。
ある日、アイリはユウキに告白した。
「ユウキくん、私、あなたが大好きです。この夏の思い出と一緒に、あなたと未来を歩きたいの」
ユウキは驚き、自分もアイリが好きだと告げた。
それから数日後、アイリは交通事故に遭ってしまった。
彼女は一命を取り留めたものの、記憶障害に苦しむことになった。
ユウキはアイリが自分のことを忘れてしまったことに悲しみを覚えたが、彼は彼女の記憶を取り戻すために奮闘し続けた。
ある暑い日、アイリとユウキは海岸で一緒に過ごしていた。
夕暮れ時、ユウキはアイリに小さなラムネ瓶を渡した。
「アイリさん、これを見て何か思い出せますか？」
アイリはしばらくラムネ瓶を見つめていた。
その中には二人の写真や海岸で拾った貝殻、夏祭りで手に入れた縁日の品が詰まっていた。
ラムネ瓶を見つめていたアイリの目には少しずつ記憶が蘇っていくようだった。
そして、彼女は目を輝かせてユウキに言った。
「ユウキくん、私たちが出会った夏の祭りで、このラムネを一緒に飲んだんだよね」
ユウキは喜びに満ちた顔でうなずいた。
「そうだよ、アイリさん。あの日から僕たちは一緒に過ごしてきたんだ」
アイリの目には大粒の涙がこぼれていた。
「ユウキくん、これ、私たちの思い出を詰め込んだラムネ瓶。私たちの距離が離れても、この瓶を見れば、また心は近くにいるって感じるよ」
「アイリさん、どうか忘れないで。僕たちの夏、僕たちの恋。 これからもずっと、君を愛してるよ」
二人の愛は、ラムネ瓶の中に詰め込まれた想い出と共に、永遠に輝き続けるのだった。
夏が来るたびに、彼らはかけがえのない思い出を胸に刻み、幸せを分かち合った。
そして、遠い夏の日の出会いが織りなす恋物語は、永遠に語り継がれていくことになる。
